チームワーク2017/12/27

今回も、また、アメリカ在住のサッカー指導者のご意見を紹介します。


「動画を見る限り、小学生のファンタジスタが多いのとは対照的に、中高校生にあっと驚くような個性的なプレーヤーがほとんどいないのはなぜでしょうか?

これは、個人の技術に問題が有るのではなく、個性を潰してしまうようなサッカーをする指導者が圧倒的に多いからであると感じます。

そして、その根底には、チームワークをどう理解しているかという問題が有ると感じます。

競争の世界で有効なチームワークとは、それぞれ違う長所を持った選手達が、それぞれの長所に合った違う役割をチームとしての共通の目標を達成するために全うしていく、というものではないでしょうか。

そこには、それぞれの選手が自分の長所を伸ばし、チームに貢献できるという事を強くアピールしていくという進化が有るべきであり、指導者はその進化を活性化するような指導をするべきである、と私は考えます。

逆に、遊びの世界で必要なチームワークは、みんなで仲良く同じようなことを同じだけ分け合ってゲームを楽しんでいくという事でしょう。

私は、この遊びのチームワークをトップレベルの競争の世界へ間違って持ち込んで行ってしまっている指導者が多過ぎると感じます。

この考え方で指導をしているチームは結果としてキーパー以外フィールドプレーヤーは全く同じ練習をしているようで、必然的に選手たちは個性的なプレーを失っていく、という結果が出ているのだと思います。

競争の世界で有効なチームワークの考え方を基盤としているチームは、最小限キーパー、フォワード、他のフィールドプレーヤーの3つのグループを作り全く別メニューで練習する時間を作っているはずです。

サッカーはルール上ごちゃ混ぜなゲームのようなところが有りますが、トップレベルの競争で勝つためには、野球やアメフトのように、各選手が長所に合あった役割をチームのために全うするような仕組みを作らなければいけないと思います。

野球のピッチャーやアメフトのクウォーターバックにお前だけいつも投げてずるい!と文句を言う人はいないし、四番バッターにホームランばかり打つな!と言う人もいないでしょう。

…でも、サッカーの場合は、メッシやマラドーナのような才能を持った選手にドリブルするな!という指導者は非常に多いでしょう。

このような指導は、遊びのチームワークという観点から考えると、良く理解できます。

ただし、遊びのチームワークでワールドカップで好成績を上げようという考え方は無謀です。」